身体(一部分の場合も含め)が結合して生まれてくる結合双生児。
場合によっては、脳や心臓などの重要な臓器を共有できていない場合もあるんです。

そうなると早く分離手術を行わなければ、2人ともすぐに死に至る可能性が高くなります。
その為、片方を犠牲にする事が前提の分離手術が認められたこともあるんだとか。

結合双生児は5~20万人の出生のうち、1組程度の確率で発生すると言われています。
意外に多い数字ですが、日本では”結合双生児”ってあまり聞き慣れませんよね?
もしかして日本では結合双生児は生まれていないのでしょうか?
それでは見ていきましょう!
日本でも結合双生児は生まれています

結論、日本でも結合双生児は生まれています。
しかし日本では結合双生児は、かなり稀なケースなんです。
文部科学省の所管機構が運営する電子ジャーナル公開システム”J-STAGE”によると、2002年12月までに報告された日本での症例数は34組です。
しかし先述した通り、結合双生児は5~20万人の出生につき1組の確率です。
確率的には日本の人口が約1億2千万人程と考えると約600~2400人組程は結合双生児となるわけです。

こうして見ると、結合双生児は日本ではかなり珍しい症例であることが分かります。
でも数字で言われても普段身近で聞かない分、実際どんな状態が結合双生児なのかイメージが沸かないかもしれませんね。
例えば結合双生児としてメディアに登場した日本の方などいれば、イメージしやすいでしょうが・・・
日本で結合双生児で有名な人はいるのでしょうか?
見てみましょう!
日本の結合双生児は?長嶺姉妹

日本で有名な結合双生児といえば長嶺姉妹です。
2001年に沖縄で生まれた長嶺姉妹は、お腹の部分でつながっている状態で生まれました。
肝臓以外の臓器は完全に独立しているものの、その後の成長に大きな問題が生じる可能性もあり、生後約2か月で分離手術が行われました。

結果は無事に成功し、現在も元気に過ごしているようです!
余談になりますが、長嶺姉妹は最近youtubeにチャンネルを開設しています。
過酷な運命に打ち勝って、たくましく生きていますよね!
長嶺姉妹の現在の活動や、生い立ちについてはこちらの記事でまとめています。
しかし日本だと長嶺姉妹以外に、結合双生児はあまり聞きません。
なぜ日本は結合双生児はあまり聞かないんでしょうか?
結合双生児が日本に少ない理由は?

ということで、なぜ日本では結合双生児はあまり聞かないのか見ていきましょう!
何か理由があって少ないのでしょうか?それとも、たまたまなんでしょうか?
実はその理由は恐ろしいものである可能性があります。
それでは見ていきましょう!
結合双生児が日本に少ない理由①死産にしている?

という事でめちゃめちゃ恐ろしい話ですが、日本は結合双生児を敢えて死産にしている可能性があります。
とはいえ、これはちょっとした都市伝説のようなものです。
その為、可能性はかなり低いのですが・・・
そもそも日本って結合双生児に関わらず、無能症や単眼症などもあまり症例がありません。

一説によると、その理由は”検診の時点でそういった障害があると確定されると、早産させたり生まれてから死産にしたりする事がある”だそうです。
しかも生まれてきた場合は、どの生命を人の手で絶ち、母親には「死産でした」と報告するんだとか。
本当なら怖すぎますよね・・・
しかし次の理由が、一般的に言われているものになり、もっとも有力であると思います。
結合双生児が日本に少ない理由②ベトナムから離れている

一般的に言われている結合双生児が少ない理由は、日本はベトナムなどの国から離れていることです。
では離れていると何が良いのでしょうか?
それは”ベトナム戦争時代にアメリカ軍が投下した枯葉剤が、結合双生児の原因だ”と言われている為です。
戦争中に、ベトナム兵が潜伏していそうな森林地帯に枯葉剤が散布されました。
後に、その枯葉剤の成分には催奇形性が出る可能性が含まれる事が分かったのです。

実際、散布地域では出産異常が増えてしまいました。
しかし、これもまた原因の一つではあるとされており、100%の理由は現在はハッキリしていません。
では、結合双生児の多い国はどこなんでしょう?
結合双生児が多い国はどこ?

”結合双生児が多い国は、中東やアフリカ、東南アジアや中国など”と言われています。
ただし、これも正確な統計はないのでなんとも言えない部分があるのですが・・・
とはいえ、胎児が結合双生児となる原因は”先天的な遺伝子の問題や、後天的な生活環境の問題だ”と言われています。
ではなぜこれらの国はなぜ結合双生児が多いのでしょうか?
結合双生児が多くなる理由は?

遺伝の問題というと、近い遺伝子が多くなりやすいという点です。
小さな集落だと、その集落内で結婚することも多いですからね。
それが多くなると、今までなかった遺伝子(要は集落外の遺伝子)とは交わりにくくなります。
いわば親戚同士が結婚するような状態ですね。
血縁同士が結婚すると、障害を抱えた子供が生まれやすいというのは有名な話です。
さらにそこに、これらの国は生活環境の劣悪さも加わってしまいます。

集落単位で生活する地域は、水などのインフラ環境が悪い事が多いです。
例えば水たまりの泥水を飲料水として口にしている事もあります。
先程の枯葉剤が散布された地域の水たまりとか想像するとかなり恐ろしいですよね。
汚染されている物を体内に入れて成長し、その女性が妊娠した子供に影響が行くと言った具合です・・・

ここまで読み進めて頂いて、結合双生児について少しご理解頂けたのかな?と思います。
実際、世界中を見てみると多くの結合双生児が生まれています・・・
ではその中でも有名な方達を見ていきましょう!
有名な結合双生児は?

ということで世界的に有名な結合双生児はどれくらいいるんでしょう?
日本だと長嶺姉妹が有名ですが、他も見ていきましょう!
有名な結合双生児は?①ベトちゃんドクちゃん

1981年、ベトナムで生まれたベトちゃんドクちゃんは下半身が繋がった状態で生まれた結合双生児です。
結合双生児と言えば真っ先に思い浮かべるほど有名ではないでしょうか?
実際、メディアにも何度も取り上げられています。

残念ながら、兄のドクちゃんは既に故人となってしまっています。
しかし弟のベトちゃんは現在、結婚もし二人の子宝にも恵まれています。
お兄さんの分も幸せに生きてほしいですね!
ベトちゃんドクちゃんの現在や、ベトちゃんの死因、母親のフエさんについてはこちらの記事でまとめています。
有名な結合双生児は?②チャン&エン・ブンカー兄弟

1811年、タイで生まれた結合双生児の兄弟がブンカー兄弟です。
兄のチャンと弟のエンの結合部分は腹部で、結合部分に肝臓があったんだとか・・・
当時の医療技術では分離手術が難しく、二人は生涯結合状態のまま過ごすことになります。

そこで彼らは自らを見世物とすることでサーカス団に所属します。
二人はその一生を結合双生児のまま生き、欧米中を旅しました。
最後は、結合双生児としては現在の基準でも長寿となる62歳で二人とも同じ日に息を引き取りました。
有名な結合双生児は?③デイジー&ヴァイオレット・ヒルトン姉妹

1908年にイングランドで誕生したヒルトン姉妹。
腰からお尻にかけての部分が結合している結合双生児です。
ヒルトン姉妹の母親の雇い主であり、出産を助けたメアリー・ヒルトンは商業的な可能性を感じ、事実上、買い取られる形で庇護のもとに置きます。
そしてメアリー・ヒルトンが亡くなる際に娘夫婦となるマイヤーズ夫妻に姉妹を相続する遺言を残します。

二人は奴隷に近い扱いを受けながら、マイヤーズ夫妻にアメリカを巡業させられていました。
弁護士のマーティン・アーノルドは2人が置かれている状況に違和感を抱き、2人を解放する為に示談を持ち込みます。
その結果、ヒルトン姉妹は晴れて自由の身となり芸能活動を続けます。
しかし1961年に行われたドライブインシアターの途中、ツアーマネージャーに捨て去られてしまいます。
移動や収入確保の手段がない二人は食料品店で働くのですが、香港かぜにより1969年に自宅で死亡しているのが発見されました。
有名な結合双生児は?④マーシャ&ダーシャ・クリヴォシュリポヴァ姉妹

1950年にモスクワに生まれたクリヴォシュリポヴァ姉妹は、骨盤にある坐骨が結合した結合双生児です。
足が3本で生まれ、後に1本を切断します。
何人もの医師が分離手術を申し出ましたが、二人はそれを拒否し続けます。
過酷な人体実験や孤児院でのいじめを受け、2人は12歳の時からお酒を飲み始めます。

後にアルコール依存症による心臓発作により2003年にマーシャが死亡してしまいます。
そしてダーシャも徐々に体調が悪化し、マーシャが死亡した17時間後に亡くなってしまいました。
有名な結合双生児は?⑤ラダン&ラレ・ビジャニ姉妹

ビジャニ姉妹は、1974年にイランで生まれた頭部が結合した結合双生児です。
ラダンは弁護士・ラレはジャーナリストをそれぞれ夢見ていました。
そして、それぞれの夢や希望を叶えるために2003年にシンガポールで分離手術を行います。

その分離手術は100人以上のスタッフのよる大がかりで国際的な専門外科班で行われました。
しかし二人の脳の分離を行っている中、完全に分離する直前に出血多量によりラダンが死亡します。
そして手術完了後まもなく、同じく出血多量でラレもこの世を去ってしまいました。
有名な結合双生児は?⑥アビゲイル&ブリタニー・ヘンゼル姉妹

ヘンゼル姉妹は1990年にアメリカで生まれた結合双生児です。
2人は部分的な結合ではなく頭や脊椎、心臓や胃などは2つあるものの小腸や大腸は一つしかありません。
両親は医者から分離手術を勧められました。
しかし仮に分離した場合は1人しか生きられない事になるため手術を拒否しました。

ヘンゼル姉妹はお互いに自分の反対側の手足には感覚がないそうです。
右半身をアビゲイル、左半身はブリタニーが動かしています。
2人の性格は違うものの息はぴったりで、運転免許も取得しています。
現在は小学校の先生を務めており、子供たちからも愛される教師になっています!
アビーとブリタニーの現在についてはこちらの記事でまとめています。
有名な結合双生児は?⑦フェイス&ホープ・ウィリアムズ姉妹

ウィリアムズ姉妹は、胸から腹部にかけて結合した状態で、2008年11月26日にロンドンにて生まれます。
ウィリアムズ姉妹の両親は、中絶するという選択肢もあったものの前向きに育てていく事を決め出産します。
そして負担を考え、当面のところは分離手術はしない方針でした。

しかし生後5日目に腸が閉塞したことから容態が悪化し、緊急手術を行う事になります。
そして肺が小さく十分に息が出来ないことが原因でホープが同年12月3日に亡くなります。
また、フェイスも合併症により組織障害が全身に及び、12月25日に死亡してしまいました。
有名な結合双生児は?⑧アンディ・ガルシア

1956年にキューバで生まれたアンディ・ガルシアは結合双生児の状態で誕生しました。
アンディ・ガルシアは現在、アメリカで俳優をしている人物です。
そんな彼は肩部が結合した状態だったものの、テニスボール程度の大きさで肩が繋がっていました。
手術痕は残っていますが、手術により分離に成功しました。
その為、肩を露出する衣装や撮影は拒んではいるものの、それ以外に特に後遺症等もないそうです。
現在では4人の子宝に恵まれて、妻のマリヴァ・ビクトリアと共に幸せな日々を過ごしています。
有名な結合双生児は?⑨メアリ&エリザ・チャルクハースト姉妹

1100年頃、イギリスで生まれたとされるチャルクハースト姉妹。
肩と腰が繋がった状態だったとされますが、もちろん当時の技術では分離手術などは不可能です。
またチャルクハースト姉妹は別名”ビデンデンのおとめ”と言う名で広く知られています。
由来はチャルクスハート姉妹の生まれ故郷がイギリスケント州のビデンデンという地域から来ています。

そして34歳のときメアリは突然亡くなってしまいます。
そして医者から分離手術を勧められるも、エリザはそれを断ります。
メアリ死亡から約6時間後に息を引き取ったそうです。
有名な結合双生児は?⑩フランク・レンティーニ

フランク・レンティーニは脚が3本あった結合双生児です。
1889年にシチリア島で12人兄弟の1人として生まれました。
脊椎と骨盤を軸に身体が結合しており、足が3本あり、性器が2つありました。
フランク・レンティーニはイタリア系アメリカ人で、サイドショーパフォーマーで、数多くのサーカスでツアーを行いました。
3本の足を使って舞台でフットボールの演芸を行い”3本脚のフットボールプレイヤー”として知られています。

30歳のときにアメリカ市民権を取得し、サーカス団やサイドショーで活動しました。
1907年にテリーサ・マリーと結婚し4人の子宝に恵まれるも、1935年に離婚します。
その後、愛人のヘレン・シュウプと共に生活を共にしました。
そして1966年9月21日、77歳で呼吸不全になり亡くなりました。
まとめ

という事で今回は、結合双生児が日本では少ない理由や、有名な結合双生児を見ていきました!
- 日本で有名な結合双生児は長嶺姉妹。
- 日本で結合双生児が少ない理由は環境が悪い地域から離れている。
- 結合双生児が多い国は中東やアフリカ、東南アジアや中国。
- 結合双生児が多くなる理由は、遺伝子的な問題や生活環境の問題。
結合双生児が生まれる原因は戦争の爪痕も含めた生活環境が多く影響を与えています。
そう考えると、全く戦争をしらない世代にまで影響を与える事になるので本当に悲しい事ですよね。
有名な結合双生児を見ていても、生後間もない年齢で亡くなったり、いじめや差別など胸が苦しくなる事もたくさんあります。
中には周りにサポートされながら、幸せな生涯を送っている方もいます。
しかしその人たちも我々では想像できないような苦しい経験をしているに違いありません。

我々個人が出来る事とすれば、こういった苦しんでいる人達に笑顔で手を差し伸べる程度だと思います。
しかしそうした小さい積み重ねが、こういった障害を抱える人達にとって過ごしやすくなる世界を作るのかもしれませんね!