クルド人の騒動が立て続けに起きたことで、注目を集めているクルド人。
埼玉県の川口市や蕨市に多く住んでいることから、通称「ワラビスタン」なんて呼ばれています。
クルド人はなぜ日本にいるのでしょうか?
また埼玉県川口市に多く集まり理由、騒動を起こしても強制送還されないのはどうしてなのでしょうか。
今回は日本にいるクルド人について、
- クルド人が日本に来る理由と生活しているエリア
- クルド人と日本人の関係性
- クルド人を強制送還する理由
- クルド人を強制送還できない理由
これらの点でまとめてみました。
クルド人はなぜ日本にいるの?

クルド人が日本に来る理由は差別や弾圧から逃れるためです。
トルコ・シリア・イラクの国はクルド人の独立を阻止するため、武力をもってクルド人を追い出そうと何度も紛争が起きています。
また、2023年2月に発生したトルコ・シリア地震ではトルコとシリアの政府はクルド人に対して何の支援も行わなかったため、クルド人に対して国際援助が届かない状況でした。
そのような状況だから、クルド人は今まで住んでいた土地を離れ、世界各国に難民として逃れようとしてきました。
日本も逃れるための国の1つです。
日本はトルコのパスポートを持っていれば、観光ビザで他国と比べると比較的楽に入国することができるのも大きな理由です。
クルド人が埼玉県川口市に集まるのはなぜ?

日本に来ているクルド人の大多数は埼玉県川口市から蕨市の範囲でコミュニティを形成しています。
そしてその内訳はトルコ国籍のトルコ系クルド人が9割以上を占めています。
なぜクルド人は埼玉県の一部に集まっているのかというと、1番大きな理由は日本政府の難民申請者に対する制度が原因です。
クルド人が日本に来る理由のほとんどは、祖国の紛争から逃れるために日本で難民として受け入れてもらうことですが、そもそも日本は難民の認定に消極的です。
2022年の難民認定数はアメリカ・ドイツ・フランス等主要な国が4万人を超える中、日本はわずか202人で認定率は2.0%しかありません。
それでもまだ増えた方で、それ以前の2019年は44人、認定率は0.4%でした。
特にトルコ系クルド人に対しての難民認定は過去1人しか認められていません。
これは、トルコが世界有数の親日国であり、トルコとの友好関係を崩したくない日本政府の考えもあると思われます。
そうなると、観光ビザで入国したクルド人はビザの期限が過ぎてしまいますが、祖国に帰るとまた紛争や迫害・差別に巻き込まれてしまうため帰国することもできず、難民申請を繰り返すことになります。
このビザが切れて、不法滞在しながら難民再申請をしている間は在留特別許可として【仮放免】の資格が政府から与えられます。
この仮放免の資格では、
- 日本国内で就労することができない。
- 健康保険への加入が認められない。
- 許可がないと都道府県をまたぐ移動が認められない。
という制限があるので、同じクルド人同士で集まってお互いに協力し合いながら日本で生活するようになりました。
クルド人の暴動が発生

2023年7月4日、埼玉県川口市でクルド人同士の乱闘事件が起こっています。
最初は個人対個人の争いで、その後負傷して2人とも同じ病院に搬送されました。
そこで話は終わらず、お互いに仲間を呼び合い、それぞれの仲間が更に仲間を呼び最終的には100人規模の騒動に発展することになりました。
これに対し警察だけでは対応できず、機動隊が出動する事態になり、その間病院は救急搬送の受け入れをストップせざる負えなくなりました。
この事件より前から、地元住民のクルド人に対する不満は上がっており、例えば
- 夜中に部屋で複数のクルド人が騒音
- 自動車の危険運転や騒音
- 自転車の窃盗
等があり、今回の事件で更にクルド人と地元住民の溝は深まってしまいました。
決して日本にいるクルド人の全てがマナーが悪いわけではありません。
しかし、一部のこのような事件を起こしてしまう人たちのせいでクルド人全体のイメージが悪くなってしまうのは本当に残念です。
クルド人が強制送還されないのはなぜ?

難民申請を行っている間は前述で述べた通り【仮放免】の資格が与えられ、ビザが切れて不法滞在の状態であったとしても日本に滞在することが出来ます。
なので、1度難民申請が通らなくても、2度3度と繰り返し申請を行っていれば、難民として認定されなくても難民申請中は日本に滞在することが出来ました。
ただし、2023年6月8日に入管法改正案が可決され、3回目以降の難民申請からは祖国に強制送還させることが可能になり、現在日本で生活をしているクルド人の方たちはいつ紛争と迫害が待っている祖国に強制送還されるかわからない非常に不安な状況になっています。
クルド人が強制送還されたことも

過去実際に日本で【仮放免】の資格を与えられていたクルド人がトルコに強制送還された事例はあります。
そのクルド人は1990年代から2004年まで日本で家族と生活をしていましたが、2004年に家族と引き離され息子と2人だけで強制送還されました。
送還後トルコ政府の長時間の尋問と公安による行動の監視が待っていましたが、日本の支援者らの協力でニュージーランドで難民として受け入れてもらえ、現在はニュージーランドでレストランを経営しています。
まとめ|クルド人はなぜ日本にいるのか

最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の話をまとめると、
- クルド人が日本に来る理由は祖国での紛争や迫害、差別から逃れるため。
- 日本の難民認定率は低く、不法滞在するクルド人が多い。
- 一部のマナーの悪いクルド人と地域住民間の溝が深まり、クルド人のイメージが悪くなる。
- 入管法改正案の可決で、クルド人はいつ強制送還させられる不安が高まっている。
という内容でした。
強制送還の対象の中には、
- 幼少時に保護者に連れてこられ、日本での生活年数の方が長くトルコ語やクルド語は話せない子供
- 不法滞在している両親が日本で産んだクルド人の子供
も含まれています。
難民認定されず、不法滞在の人が増えることで治安の悪化や税金の使い道等マイナスな要素も確かに存在します。
それでも民族で一括りにしてまとめて排除するのではなく、もっと状況に合わせた制度の改正をしていくべきではないでしょうか?
日本政府の方々には是非議論を重ねていただきたいと感じました。